メークアップ
今週の例会
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ロータリーの歴史
先週の続きになりますが、ビジネス集団だった初期のロータリークラブがどのようにして
奉仕理念を持ったクラブへと変遷していったのかをお話しします。
奉仕の概念はドナルド・カーターがもたらした
クラブ会員の事業上の利益の増大を定款に掲げ
会員の事業にお互いが利便を図り合う相互扶助の考え方をベースに会員を急激に増やしていき
また、一業種一人という制約から簡単に入会できないことが大きな魅力であり、
入会を薦めれば誰しもが二つ返事で受諾するクラブへとなってきました。


会員相互で商品や原材料を原価で取引して、それを一般の人に売って大きな利潤をあげるのですから、
こんな効率的な話はありません。この制度は会員の事業に大きな経済効果を生みだし、
零細な企業主でもロータリークラブに入会すれば必ず事業は拡大し、大金持ちになれるとさえいわれました。

(参考:ロータリー探訪記)



初期のメンバー(1930撮影)


しかし、こうした行為に対する一般の人からの非難が日に日に高まり、ロータリアン自身からも批判が出始めてきました。
そして発足から1年ほど経った1906年4月の、ドナルド・カーター事件へと繋がっていきます。

薦めれば誰もが喜んで参加するクラブへの誘いを断った人物がいました。


特許弁理士ドナルド・カーターです。彼はこのようにして入会を拒否しました。

職業を持って社会で生活している以上、
職業を通じて社会に貢献することが自分が存在する証になるのであって、
自分たちだけの利益にこだわって、社会的に何もしない団体に将来性も魅力もない


この入会拒否事件はシカゴ・クラブに少なからぬショックを与えました。

しかし、物質的互恵と親睦にのみ終始することに限界を感じ、
次の段階へのステップ・アップを考えていたポール・ハリスは、
この事件を絶好のチャンスと捉えて、直ちに、ロータリーの在り方を転換することを決断し、
定款を改正することを条件にドナルド・カーターに再考を促し、その後快く入会を了承しました。


そして、定款には第3条が加えられることになりました。


<シカゴ・クラブ定款>
1.本クラブ会員の事業上の利益の増大
2.通常社交クラブに付随する親睦およびその他の特に必要と思われる事項の推進

3.シカゴ市の最大の利益を推進し、シカゴ市民としての誇りと忠誠心を市民の間に広める


後にドナルド・カーターはこの様に言っています。

「まったく利己的な組織は永続性がない。もしも我々がロータリークラブとして生き残り、発展することを望むならば、
我々の存在を正当化するために何ごとかをしなければならない。我々はある種の市民に対する奉仕をしなければならない。
この定款の改正は、われわれが市民に対する奉仕をすることが可能になるように、
シカゴ・ロータリークラブの綱領を拡大することを目的としたものである。」



このようにして、シカゴ・クラブの定款に対社会的な行動に関する項目が付け加えられ、
創成期のロータリーに奉仕という概念が芽生えることになります。


ここまでロータリーの歴史を書いた文献からは、奉仕の概念が生まれた流れを紐解く事ができました。
ここからは私個人の考えですが、この流れに腑に落ちないことがあります。

まったく利己的な組織は永続性がない。
我々はある種の市民に対する奉仕をしなければならない。


なぜこの考え方をするのか。またなぜこれに同意して奉仕の概念が取り入れられたのか。

これはやはりキリスト教の精神を抜きにして語れないものだと思います。
 
信じなくてもためになる 宗教的考え方 キリスト教編 - Yahoo!知恵袋
私たちは給料や謝礼はそれがなされた時間や労力に対する対価と思っていますが、これをキリスト教では神の命令を実践した証、とします。すなわちただ働くだけではいかん。 それで本当に人を助けたか、喜ぶことをしたか、それがお金という形(額)で評価される。
 
キリスト教における富 - Wikipedia


ロータリーの歴史や考え方、ロータリーのなぜ?を知るには、
根底に流れるキリスト教の精神や慣習を理解しないといけないのかなと感じるようになりました。

八百万の神を尊び、お墓参りをして、クリスマスを祝う典型的日本人の私にはなかなか敷居が高そうです。

さて、奉仕の精神を持ったロータリークラブがどのような活動をしていくのかはまた来週です。

 

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